御十夜1

 秋も深まったこの季節、浄土宗で大切にする法要の一つである「十夜(じゅうや)法要」が各地の寺院で勤められます。十夜法要は阿弥陀如来の広大な慈悲に感謝する法要で「奉酬(ぶしゅう)西方願王阿弥陀如来成等正覚広大慈恩」という文を法要でとなえますが、これは「罪深く愚かな私たち凡夫を哀れみ、それを救おうと、念仏をとなえる者を西方極楽浄土に迎える、という願をたてられた阿弥陀如来が、完全な覚りを開かれた(願を成就された)ことと、その広大無辺な慈悲の恩に対し酬(むく)いたてまつります」という意味です。阿弥陀如来の恩にむくいるといえば、ただお念仏を称えるということ以外のなにものでもありません。

 十夜法要が、大切なお念仏の法要であるということになります。「十夜」は、「十日十夜(じゅうにちじゅうや)」という言葉を短くしたものです。十日十夜とは、『無量寿経』という、お経のなかに、「この土において善をなすこと十日十夜なれば、他方諸仏国土において善をなすこと千歳に勝る」ということに由来します。すなわち、欲望の多いこの世で十日十夜の善い行いをすることは、仏の国の千年の善行に勝っているということです。今年も十一月十四日昼夜に二座に渡って御十夜法要を相勤めますので、どうぞご家族おそろいでお参りくださいませ。


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